アートメイク・医療脱毛をシェアサロンで受け入れてよいか(医行為と美容の境界)

医師でなければ行えないとされる施術と、美容師免許と届出があれば成り立つ施術を、受け入れの三区分に分けます。禁止する行為の中身、施術メニューの届出、資格の提示を、利用契約書の条文例で整理します。

トップページ › アートメイク・医療脱毛をシェアサロンで受け入れてよいか(医行為と美容の境界)

このページの要点

  • アートメイク、光やレーザーで毛根を破壊する脱毛、ハイフ、薬剤による表皮の剥離は、国の通知が医師でなければ行えない行為として整理している。利用者が医師でない限り、名称を問わず受け入れない。
  • まつげエクステは、美容師免許と、区画が美容所として届け出られていることの両方を確かめて受け入れる。免許があっても、区画の届出がなければ施術できない。
  • 医師や看護師が申し込んでも、資格だけで決めない。医師の指示と体制、場所の要件を書面で出してもらい、整ったものだけを個別に承諾する。
  • 契約書には、医療行為の禁止の一文ではなく、禁止する行為の中身、施術メニューの届出と変更時の承諾、資格の提示、疑いのときの手順を書き、予約ページなどの運用をそろえる。
アートメイク、レーザーや光で毛根を破壊する脱毛、ハイフ、薬剤で皮膚の表面を剥がす施術は、利用者が医師でない限り、シェアサロンでは受け入れない。これが出発点です。国の通知は、これらを医師でなければ行えない行為として整理しており、施術の名前を言い換えても結論は変わらないとしています。一方、まつげエクステのように、美容師免許と美容所の届出がそろえば成り立つ施術は、書類を確かめたうえで受け入れます。受け入れの可否は「施術の名前」ではなく、「皮膚に何をするか」「誰がするか」「どの場所でするか」の三点で決めます。契約書には、「医療行為の禁止」の一文だけでなく、禁止する行為の中身、施術メニューの届出、資格の提示、疑いが出たときの手順を書きます。

このページでは、場所を貸す側を「オーナー」、施設の区画を借りて自分の名前と責任で施術をする人を「利用者」、利用者の施術を受ける人を「お客様」と呼びます。「医行為」とは、国の通知が示している説明では、医師の医学的判断と技術によるのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為のことです。「美容所」とは、美容師法に基づいて届け出る、美容を行う施設のことです。なお、個々の機器や施術が医行為にあたるかどうかを、このページが判断するものではありません。国の通知が示している整理を紹介し、オーナーが契約と運用でどう備えるかを書きます。

アートメイク・医療脱毛・ハイフを、シェアサロンで受け入れてよいのか

受け入れてはいけない、と決めておくのが安全です。シェアサロンでは、オーナーが利用者の施術を日常的に見ることがなく、区画は複数の利用者が入れ替わりで使います。この「見えない」という性質が、境界にある施術の入口を広げます。受け入れの基準は、先に三つの区分で決めておきます。

受け入れの三区分
区分考え方該当しやすい施術の例オーナーがすること
受け入れない医師でなければ行えないとされている行為。利用者が医師でない限り、名称を問わず断る針先に色素を入れる施術、光やレーザーで毛根を破壊する脱毛、ハイフ、薬剤で皮膚の表面を剥がす施術契約書で行為の中身を列挙して禁止し、申込みの段階で断る
免許と届出を確かめて受け入れる施術者の免許と、場所の届出がそろえば成り立つ施術まつげエクステ、美容師の業務にあたる施術免許の写しと、区画が届出済みの美容所かどうかを、利用開始前に確かめる
内容を聞いて個別に決める機器や薬剤、方法によって整理が分かれる施術。利用者が医師や看護師の場合高出力の機器を使う施術、医療資格者が申し込んだ施術機器名、薬剤、方法、場所の要件を書面で出してもらい、書面で承諾するか断る

三つ目の区分が、実務では最も判断に迷う部分です。迷う施術をひとまず受け入れて様子を見る運用は、発覚したときの負担が大きくなります。迷うものは、書面で内容を出してもらい、出てこなければ断ります。

受け入れ判断の流れ

施術を書き出す利用者に、施術の名称、機器、薬剤、針などの器具、皮膚に何をするかを書面で出してもらう。
行為の中身で区分する名称ではなく、皮膚に針を入れる、光や超音波を当てる、薬剤で剥離する、などの中身で三区分に当てはめる。
資格と場所を確かめる免許の写し、美容所の届出の有無、医師や看護師の場合の体制を確かめる。
書面で承諾か不承諾承諾は施術メニューを特定して書面で行い、変更があれば再申請とする。

借りる側が事前に確かめたい点はシェアサロンを借りる前のチェックポイントのページに整理しています。

国は、どの施術を医師でなければ行えないものとして示しているのか

国は、脱毛、アートメイク、ハイフ、薬剤による皮膚の剥離などについて、医師免許を持たない者が業として行えば医師法17条に違反する、と通知で示しています。「業として」とは、反復継続する意思をもって行うことです。

国の通知が示している主な施術の整理
施術通知の示す内容出典の種類
レーザー・光による脱毛用いる機器が医療用かどうかを問わず、レーザー光線その他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射して、毛乳頭や皮脂腺開口部等を破壊する行為を、医師免許のない者が業として行えば医師法17条違反とされている平成13年11月8日付 厚生労働省医事課長通知
針先に色素を入れる施術(アートメイク)眉毛やアイラインなどを針先に色素を付けて皮膚に入れて描く行為は医行為とされ、医師免許のない者が業として行えば医師法17条違反と整理されている。最高裁令和2年9月16日決定がタトゥー施術を医行為でないとしたことは、この結論を否定しないとされている令和5年7月3日付 同通知
ハイフ(高密度焦点式超音波)機器が医療用かどうかを問わず、人体に照射して細胞に熱凝固を起こさせ得る行為は医行為とされ、医師免許のない者が業として行えば医師法17条違反とされている。医師が行う場合は、医療法上の医療提供施設で行う必要があるとも示されている令和6年6月7日付 同通知
酸などによる表皮の剥離(ケミカルピーリング)平成13年の通知が、レーザーによる脱毛、針先に色素を入れる行為と並べて、酸等の化学薬品による表皮剥離を挙げている平成13年11月8日付 同通知
上記の無資格者による実施と、看護師等のみによる実施令和7年8月15日付の通知(美容医療に関する取扱いについて)は、脱毛行為等、アートメイク、ハイフを無資格者による医行為の例に挙げ、看護師等が医師の指示なく行うことも医師法17条や保健師助産師看護師法37条に違反するおそれがあるとしている令和7年8月15日付 医政局長通知

押さえておきたい点が三つあります。

1 名称を変えても結論は変わらない

令和7年の通知は、アートメイクについて、眉毛や乳輪などの人体の構造物を描く行為と、アイライン、チーク、リップなど化粧に代替しうる装飾を描く行為のいずれも、「○○メイク」「○○タトゥー」といった別の名称で提供されていても医行為にあたる、と整理しています。厚生労働省のウェブページも、名称を問わずアートメイクは医行為であり、特定の施術について厚生労働省が許可、容認した事実は一切ない、と注意を促しています。「眉のデザイン」「ライン入れ」と呼んでも、皮膚に針で色素を入れるなら、行為の実質で見られます。

2 「機器の性能」や「医療用でない」は理由にならない

脱毛もハイフも、通知は「医療用であるか否かを問わず」と書いています。「エステ用の機器だから大丈夫と言われて買った」という利用者の説明は、判断の根拠になりません。

3 違反とされた場合の国の対応

令和7年の通知は、病院等以外の場所で無資格者が医業を行っている場合、捜査機関への相談・告発などの対応を取るとしています。貸した区画で行われたことが明らかになれば、オーナーは事情を聴かれる立場に置かれます。貸主に直接の義務や罰則を置く規定があるかどうかは、このページでは断定しませんが、物件の持ち主との契約、近隣や他の利用者との関係、予約サイトでの評判に及ぶ影響は、施術者本人だけの問題では済みません。物件の持ち主の承諾した範囲を超える使い方が行われたときの扱いも考えておきます(民法612条は、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたとき、賃貸人が契約を解除できると定めています)。転貸の承諾の取り方は間借り契約書・転貸の承諾・サブリースのページで整理しています。

貸した区画で違法な営業が行われた場合の一般的な備え(疑いの段階と確定後の分け方、解除と退去の手順)は、レンタルサロン・個室の時間貸しで違法営業を防ぐ規約のページで整理しています。

まつげエクステ・眉・まつげパーマは、何を確かめれば受け入れられるのか

まつげエクステは、美容師免許を持つ人が、美容所として届け出られた場所で行う施術です。免許と、場所の届出の二つを確かめられれば受け入れられます。厚生労働省は、まつ毛エクステンションの施術は美容師法の「美容」にあたり、施術者には美容師の免許が必要であること、美容師は美容所で美容を行う必要があるため、届出のない美容所では施術できないことを、ウェブページで示しています。

シェアサロンで問題になるのは、二つ目の「場所の届出」です。利用者が美容師免許を持っていても、借りる区画が美容所として届け出られていなければ、その区画では施術できません。届出を誰が行うのか(オーナーが開設者になるのか、利用者が自分で届け出るのか)、利用者が従業者として届出に載るのか、一つの施設に複数の開設者を認めるのかは、運営の形と自治体の運用で変わります。契約書に「必要な届出は利用者が行う」とだけ書いて、区画の側の事情を確かめないまま貸すと、届出ができない場所を貸したことになります。

免許と届出を確かめて受け入れる施術の確認事項
施術確かめること確かめ方
まつげエクステ施術者の美容師免許。区画が美容所として届出済みか。開設者は誰か免許の写しの提示。管轄の保健所への確認結果の書面
まつげパーマ・まつ毛のそのほかの施術エクステ以外のまつ毛の施術の取扱い。自治体が案内を出していることがあるメニューごとに、管轄の保健所に確認し、確認した日と相手を記録する
眉のワックス、カット、ティントなど方法によって整理が分かれる。針で皮膚に色素を入れる方法は、前の章の区分に入る施術の方法を書面で出してもらい、保健所への確認結果を記録する

確認の記録は、日付、確認した相手、確認した内容の三つを残します。免許と届出の確認の手順は、美容室の面貸し契約書のページで、美容所の届出を誰が行うかという整理とあわせて説明しています。

まつげ・眉の申込みで見落としやすいこと

  • 研修を修了したことを理由に、免許のない人が申し込んでくる。研修の修了は免許の代わりになりません。
  • 眉のメニューの説明に「アートメイク」「ライン入れ」「半永久」といった語が並んでいる。針で色素を入れるなら、前の章の区分に入ります。

医師や看護師が利用者として申し込んできたら、どう扱うのか

資格があることと、その場所でその施術をしてよいことは、別の問題です。医師なら貸してよい、看護師なら貸してよい、と資格だけで決めると、場所の要件を見落とします。申込みの段階で、資格の種類、施術を行う体制、場所の要件を書面で出してもらい、整ったものだけを個別に承諾します。

申込者の資格と、オーナーが確かめること
申込者国の通知の整理オーナーが確かめること
医師免許のない人医行為にあたる施術は、名称を問わず、医師免許がなければ行えない区分「受け入れない」の施術を含まないか、メニューを書面で出してもらう
看護師などの医療資格者のみ診療の補助は医師の指示のもとでしか行えない。医師の指示なく行うことは、保健師助産師看護師法37条に違反するおそれがある医師の指示と、医師の関与の体制を示す書面。看護師だけで完結する体制は受け入れない
医師医師が病院等以外の場所で医業を行うには、医療法上の届出が問題になる。通知は、届出のない場所での医業が疑われる場合に立入検査等の対応を取るとしている。ハイフは医療提供施設で行う必要があると示されている区画が診療所として届け出られる要件(構造設備等)を満たすのか、届出が行われるのか。自治体の案内を確かめ、書面で承諾する前提にする

令和7年の通知は、医師も、看護師等に医師の指示のない医行為を行わせるような状況を作ってはならない、としています。医師が借りて、看護師だけが日常の施術をする形は、この点で問題になりえます。オーナーとしては、「医師免許の写しを見たから安心」とは考えず、実際に誰が、どの場所で、誰の指示のもとで施術をするのかを書面で出してもらいます。

承諾するかどうかは、オーナー自身の運営方針でも決められます。医療行為はそもそも受け入れない、と利用規約で決めておけば、申込みの段階で一律に断れます。断る基準を持つこと自体が、運営を軽くします。

オーナーの名前で予約を受け、メニュー表も作っているなら、お客様はオーナーを契約の相手と受け取りやすくなります。お客様との契約の当事者を利用者とする書き方は、シェアサロン利用契約書・利用規約の作り方のページで扱っています。

よくある失敗と直し方:契約書の書き方

契約書によく見られる失敗は、禁止が抽象的であること、確認の入口がないこと、止める根拠が広すぎて使いにくいことの三つです。次のような条項が使われていることがあります。

書き方の例(一般的な例):医行為との境界に関する条項で見られる書き方

よくある書き方と整えた書き方
場面よくある書き方整えた書き方整える理由
禁止の書き方「医療行為その他法令により資格を要する行為を無資格で行ってはならない」とだけ書く禁止する行為の中身(針先に色素を入れる、毛根を破壊する光やレーザーを照射する、超音波を照射して熱凝固を起こさせ得る、酸等で表皮を剥離する)を列挙し、名称、広告上の表示、説明のいかんを問わない、と書く利用者が「うちのは医療ではなくケア」と言ったときに、条項の側で止められるようにするため
資格と届出「資格や届出は利用者の責任と費用で取得し、オーナーは確認義務も監督義務も負わない」と書く資格や届出が必要な施術は、写しの提示を利用開始の条件にし、提示がなければ貸さないと書く。区画の届出が必要なときは、開設者と届出の状況をオーナーが書面で伝える確認しないと書いても、実際の運用で免許も届出も見ていないなら、オーナーの関与が問われたときの説明がつかず、入口で止められないため
施術メニューメニューは利用者が自由に決め、オーナーは把握しない施術メニューを機器、薬剤、方法まで届け出てもらい、変更や追加は事前の承諾を受ける。承諾は適法性の保証ではないと書く契約時点の申告と、実際の施術が離れていくのを防ぐため。承諾が保証と読まれないようにするため
解除の根拠「オーナーが不適切と判断したときは直ちに解除できる」禁止施術に当たる行為、申込み時の申告の虚偽、確認への不応答、免許の失効や停止、などを列挙する。疑いの段階では説明と資料の提出を求める手順を先に置く基準が広すぎる解除事由は、争いになったとき、オーナー側に不利に働くため
お客様への表示広告や予約ページの表現について定めがない医療を思わせる表示(「医療レベル」「治療」「クリニック並み」など)を禁止し、施術者の資格を表示する場合は施術の範囲と併せて表示する広告が医療を思わせれば、契約書が否定していても、お客様は医療と受け取るため
責任の置き場所「オーナーは、利用者の施術に起因する損害について一切の責任を負わない」施術に起因する損害は利用者が負い、建物や設備の管理に原因があるものはオーナーが負う、と原因で分けるすべてを免れる書き方は、争いになったときの効力に限界があり、原因で分けた書き方のほうが保たれやすいため

最後の行の補足です。個人が事業と関係なく施術を受ける場合、お客様と利用者の関係には消費者契約法が働き(同法2条1項・2項)、事業者の債務不履行や、債務の履行に際してされた不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効です(同法8条1項1号・3号)。利用者が自分のお客様に使う書面に「一切の責任を負わない」と書いても、全部免除としては効力が認められません。一方、オーナーと利用者は事業者どうしですから、消費者契約法は直接には働きません。それでも、違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条3項)。禁止施術に違反した場合の違約金は、額と、実損を別に請求できるかどうかを分けて書いておきます。

契約書に禁止を書いても、オーナーの予約サイトが利用者の施術名をそのまま載せていたり、受付が医療を思わせる説明をしていたりすれば、運用が契約書の文言を打ち消します。お客様の苦情が施設に届いたときに利用者へ戻す考え方は、利用者トラブルの対処のページで整理しています。

ヒヤリングで確認すること:申込み前に何を聞き、何を出してもらうか

契約書を整える前に、利用者の施術の中身を聞き出す必要があります。問いは、機器と行為の棚卸しから始めます。答えによって、三区分のどこに入るかが決まります。

利用者に確認する問いと、その理由

提供する施術のメニューを、使う機器、薬剤、針などの器具まで書き出してもらえますか。

聞く理由
名称だけでは区分できません。皮膚に何をするのかを、道具の側から確かめるためです。
気になる答えの例
「ケア」「整える」とだけ書かれ、機器や薬剤の欄が空欄のまま。

皮膚に針を入れる、光やレーザー、超音波、高周波を当てる、薬剤で皮膚の表面を剥がす施術は含まれますか。

聞く理由
国の通知が医行為として整理している行為が含まれるかを、直接の問いで確かめます。含まれると答えた場合は、区分「受け入れない」に入ります。
気になる答えの例
「医療ではないので問題ない」と、質問に答えず機器の説明に終始する。

施術ごとに必要な資格は何で、誰が持っていますか。写しを提示できますか。

聞く理由
免許は施術者本人のものです。複数人で入る場合は、誰がどの施術をするのかを特定する必要があります。
気になる答えの例
「研修を受けているので大丈夫」「知り合いの免許で」と答える。

借りたい区画は、美容所として届出済みですか。開設者は誰で、自分は届出に載りますか。

聞く理由
免許だけでは足りない施術があります。区画の側の事情で、施術できるかどうかが決まります。
気になる答えの例
利用者もオーナーも、届出の有無を把握していない。

医師や看護師が関わる場合、施術を行う人、指示を出す人、診察する人は誰ですか。

聞く理由
医師の指示と関与の体制が、書面で説明できるかを確かめます。看護師だけで完結する体制や、医師が名前だけを貸している体制は、受け入れの基準を満たしません。
気になる答えの例
「院長の包括的な指示がある」と述べるだけで、指示の内容と、医師が現場に関わる頻度が示されない。

予約ページ、SNS、チラシで、施術の名称や効果をどう表示する予定ですか。

聞く理由
広告が医療を思わせると、お客様は医療と受け取ります。契約書の禁止と広告の表示がずれないようにするためです。
気になる答えの例
「医療レベル」「クリニック並み」「一度で生えなくなる」といった表現を使う予定がある。

申込みから利用開始までの流れ

  1. 施術メニューの届出を受ける機器、薬剤、器具、方法を書面で出してもらう。名称だけのメニュー表は受け付けない。
  2. 三区分に当てはめる区分「受け入れない」に当たる行為があれば、その場で断る。理由は規約の禁止条項にひも付けて伝える。
  3. 資格の写しと、区画の届出を確かめる免許の写し、美容所の届出の状況、医師や看護師が関わる場合の体制を確かめ、確認の日付と相手を記録する。
  4. 書面で承諾する承諾はメニューを特定して行い、適法性の保証ではないことを書面に明記する。
  5. 広告の表示を確かめる利用開始前に、予約ページ、SNS、店頭の表示に、医療を思わせる表現がないかを確かめる。
  6. 変更と更新の手順を決めるメニューの追加や機器の入れ替えは、事前の届出と承諾を受ける。契約更新のときに、あらためて免許の有効性を確かめる。

条文例:施術メニューの届出、禁止施術、資格の提示、疑いのとき

ここからは、オーナーが利用契約書に入れる条文の書き方の例です。甲をオーナー、乙を利用者とします。番号や日数は、運営の実態に合わせて入れます。

条文例:施術メニューの届出と変更

乙は、本施設で行う施術について、その名称、内容、使用する機器及び薬剤、並びに皮膚に用いる針その他の器具を、甲の定める様式により、利用開始前に甲に届け出る。

乙は、前項の届出の内容を変更し、又は新たな施術を加えるときは、実施の〇日前までに変更を届け出て、甲の書面による承諾を受けなければならない。

甲が前二項の承諾をしたことは、承諾に係る施術が法令に適合することを、甲が確認し、又は保証したことを意味しない。

(書き方の例)第3項で、承諾が適法性の保証にならないことを明記し、後から「オーナーが適法と認めた」と読まれないようにしています。

条文例:禁止施術

乙は、名称、広告上の表示又は説明のいかんにかかわらず、次の各号のいずれかに当たる行為を、本施設で行い、又は本施設を用いてその予約の受付若しくは準備をしてはならない。

(1)針先に色素を付けて皮膚に色素を入れる行為。

(2)レーザー光線その他の光線を毛根部分に照射して、毛乳頭又は皮脂腺開口部等を破壊し、又は破壊するおそれのある行為。用いる機器が医療用であるか否かを問わない。

(3)超音波を人体に照射して、細胞に熱凝固を起こさせ得る行為。用いる機器が医療用であるか否かを問わない。

(4)酸その他の薬剤により皮膚の表面を剥離する行為。

(5)診察、診断、処方、注射その他、医師でなければ行えない行為。

(6)前各号のほか、法令により一定の資格を有する者でなければ行えない行為を、その資格を有しない者が行うこと。

乙又は乙の使用する者が、医師その他前項の行為を行える資格を有する場合であっても、甲が書面で承諾した場合を除き、前項の行為を本施設で行ってはならない。

(書き方の例)各号の書きぶりは、国の通知が示している行為の中身に沿っています。名称ではなく行為の中身で書くことで、言い換えに対応します。第2項で、医師が自ら行う場合にも、書面承諾を条件にしています。

条文例:資格・届出の提示

乙は、乙が行う施術について免許、許可、登録又は届出が必要なときは、利用開始前に、その免許証等の写し又は届出に係る書類を甲に提示する。乙が使用する者がいるときは、その者についても同様とする。

乙が前項の提示をしないときは、甲は、乙に本施設を利用させないことができる。この場合、甲は、利用料金の返還その他の責任を負わない。

乙は、免許等が失効し、停止され、又は取り消されたときは、直ちに甲に通知し、当該免許等を要する施術を停止する。

美容所としての届出を要する施術については、乙は、利用開始前に、乙が使用する区画が美容所として届け出られているか、及びその開設者を甲に問い合わせることができ、甲は、書面で回答する。

(書き方の例)第4項は、利用者の側からは分からない区画の届出の事情を、オーナーが書面で伝える形にしています。

条文例:疑いが生じたときの確認と解除

甲は、乙の施術が前二条の定めに反する具体的な疑いがあるときは、その事情を示して、乙に説明及び資料の提出を求めることができる。乙は、〇日以内にこれに応じなければならない。

甲は、前項の説明又は資料によっても疑いが解消されないとき、又は乙が前項に応じないときは、乙の本施設の利用を、確認が完了するまで停止することができる。停止の期間は、〇日を上限とする。

甲は、乙が前二条に違反したとき、又は届出の内容と異なる施術をしていたことが確認されたときは、催告をせずに本契約を解除することができる。

前項の解除があったときは、乙は、甲が指定する期限までに退去する。乙の物品は、甲が〇日間保管し、乙の費用で引き取る。

(書き方の例)疑いの段階は説明と資料の提出にとどめ、確認できたときに解除する構成です。解除後の私物は、運び出さずに保管と引取りの手続にしています。

疑いの段階での連絡文は、事実の確認と資料の依頼にとどめ、違法行為をしていると決めつけない書き方にします。

解除後に利用者が退去しない場合の扱いは、違法営業を防ぐ規約のページで述べているとおり、実力行使を避け、裁判所の手続によります。貸す側の準備全体の流れは、シェアサロンの始め方・経営のページで整理しています。

お客様の情報と事故のときの連絡

境界にある施術では、事前の問診で、既往歴や服薬など健康に関する情報を取ることがあります。病歴にあたる記述は要配慮個人情報にあたり、取得にはあらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護法2条3項、20条2項)。問診票のように、本人が書いた書面から直接取得する場面では、その前に何に使うのかを本人へ示しておく必要があります(同法21条2項)。取得して保管するのは問診を行った利用者で、オーナーが全員分の問診票を預かる運用は避けます。事故や体調不良のときに、利用者がお客様の情報をオーナーに伝えるには、原則として本人の同意が必要です(同法27条1項)。同意書とお客様向け規約は、お客様と契約するのが利用者である以上、利用者の書面として組み立てます。

起きがちなこと:受け入れを決めたあとの運用

受け入れた後の運用で起きがちなことを、場面ごとにまとめます。

医行為と美容の境界でありがちな場面

眉の「デザインメイク」として申し込まれた

起きがちなこと
施術の説明を聞かずに承諾し、あとから針を使う施術だったと分かる。メニュー表には「眉デザイン」としか書かれていなかった。
先に確認すること
使う器具に針が含まれるか、皮膚に色素を入れるか。メニューを器具まで届け出てもらう。

名称を「ケア」に変えた機器が持ち込まれた

起きがちなこと
契約時の届出は「フェイシャルケア」。実際には、超音波や高い出力の光を当てる機器を持ち込んだ。
先に確認すること
機器名と用途、出力の説明資料。機器の追加は事前の承諾を受ける条項。

看護師の利用者が「医師の指示がある」と説明する

起きがちなこと
指示の内容も、医師が現場に関わる頻度も示されず、実際には看護師だけで施術している。
先に確認すること
指示を出す医師の氏名、指示の方法、医師が関わる頻度。書面で出してもらえなければ断る基準。

医師が休日だけ区画を借りたいと申し込んできた

起きがちなこと
医師免許の写しを見て承諾したが、区画が診療所として届け出られる要件を満たすのかを確かめていなかった。
先に確認すること
診療所としての届出の要否と、区画の要件。自治体の案内の確認結果を書面にする。

まつげの利用者が入ったが、区画の届出が済んでいなかった

起きがちなこと
利用者は免許を持っていたが、区画は美容所として届け出られていなかった。「届出は利用者の責任」と契約書に書いてあった。
先に確認すること
届出の状況の確認。区画の側の事情をオーナーが書面で伝える条項。

予約ページに「医療レベルの脱毛」と書かれた

起きがちなこと
契約書は医療行為を禁止していたが、予約ページの表示をオーナーが事前に見ていなかった。
先に確認すること
利用開始前の表示の確認。医療を思わせる表現の禁止と、違反時の削除の手順。

三区分で受け入れの基準を持ち、書面で承諾し、変更のたびに届出を受ける。この三つが続いていれば、止めるべきものを、止めるべきときに止められます。運営中に起きた問題の扱いは利用者トラブルの対処のページに、売上の精算の考え方は料金プランと売上歩合の精算のページにまとめています。

よくあるご質問

利用者が「アートメイクではなく、眉のデザインです」と言うとき、受け入れてよいですか。

針先に色素を付けて皮膚に入れる行為であれば、名称を変えても受け入れない区分に入ります。国の通知は、「○○メイク」「○○タトゥー」など別の名称で提供されていても、眉毛などの構造物や化粧に代わる装飾を描く行為は医行為にあたると整理しています。名称ではなく、使う器具と皮膚への作用を書面で出してもらって区分します。

医師の利用者なら、レーザー脱毛やハイフを区画でしてもらってよいですか。

資格があることと、その場所で施術してよいことは別です。国の通知は、医師が病院等以外の場所で医業を行う場合には医療法上の届出が問題になること、ハイフは医療提供施設で行う必要があることを示しています。区画が診療所として求められる要件を満たすのか、届出が行われるのかを、自治体の案内で確かめたうえで、書面で個別に承諾するかどうかを決めます。医療行為はそもそも受け入れない、と規約で決めておくこともできます。

まつげエクステの利用者を受け入れるとき、何を確認しますか。

施術者の美容師免許の写しと、区画が美容所として届け出られているかの二つです。厚生労働省は、まつ毛エクステンションは美容師法の美容にあたり、施術者には美容師免許が必要であること、届出のない美容所では施術できないことを示しています。免許があっても区画の届出がなければ施術できないため、届出の名義と状況は、オーナーが書面で利用者に伝えます。

看護師の利用者が「医師の指示がある」と言うときは、どう扱いますか。

看護師が行える診療の補助は、医師の指示のもとでしか行えません(保健師助産師看護師法37条)。指示を出す医師の氏名、指示の方法、医師が現場に関わる頻度を書面で出してもらい、示されなければ断ります。看護師だけで完結する体制や、医師が名前だけを貸している体制は、受け入れの基準を満たしません。

契約書に「医療行為を禁止する」と書けば足りますか。

足りません。禁止の中身を、針先に色素を入れる、光やレーザーで毛根を破壊する、超音波で熱凝固を起こさせ得る、酸等で表皮を剥離する、といった行為で書き、名称を問わないと明記します。あわせて、施術メニューの届出と変更時の事前承諾、資格の写しの提示、疑いのときの説明と資料の提出、禁止施術に当たる行為があったときの解除を書きます。予約ページや広告の表示を運用で確かめないと、書面の禁止が打ち消されます。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の施設に必要な対応は、物件の契約内容、利用者の業種、料金の受け取り方によって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 法務省 / 公正取引委員会 フリーランス法

アトラス行政書士法人|毎日5組限定契約書・利用規約の無料チェックお手元の書類の問題点を、行政書士が詳しく指摘します。1書類につき24時間以内に回答・お1人様3種類まで無料チェックの詳細を見る›

ご依頼の前に:対応の内容

料金は書類ごとの定額です(税込):契約書 1通15,000円/利用規約+プライバシーポリシー 2点で23,000円/特定商取引法に基づく表記 11,000円 料金表を見る

詳しい内容を見る

シェアサロン・面貸し・間借りの契約書や規約でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「シェアサロン・面貸し・間借りのサイトを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成と、お手元の書類の修正・加筆だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る